―― バックストーリー
迷いの竹林から人里へ。
スーパーサミットで買い物を済ませた八意永琳は
午後を回り、一段と無節操に鳴く蝉達の歌を背景に
ファッションセンターしまむらの店頭カゴを前に佇んでいた。
永琳 「おばさんパンツ、3着で500円か……」
診察所や医薬品で収入があるとは言え
家には腹を空かせて帰りを待つ兎達と、
部屋でピコピコしているアレが居る。
財政難はどこの家庭にでもあるのだ。
永琳 「いやいや待て待て、まだ若い」
ふと目を逸らした所で、しまむらに対抗するように
店を構えるランジェリーショップが見えた。
天才と謳われた八意永琳だって女の子なのだ。
何だかんだとお洒落はしたい。
フラフラとランジェリーショップに近づき
輝くような瞳でウィンドウから値札を調べ、落胆する。
決して手が出ない額ではないが
眉を歪ませるのには充分な値段だ。
月に居たころは欲しい物など、いくらでも手に入った。
確かにあの娘は自分の所為で辛い想いをさせ、
それに対し自分も責任を感じている。
とは言え、家の手伝いもせずアレしてコレしてと
我侭ばかり言われるのも納得がいかない。
何だかとってもムシャクシャしてきた。
永琳 「そうだ…セクハラをしよう……」
打って変わって明るい笑顔をした彼女は
そう言ってランジェリーショップの戸を開けた。
鬱憤を晴らせる。
購買欲も発散出来る。
そんな方法を思いついた天才がそこに居た。
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